【神川監督 会見コメント】
今節は最終節、それをホームで迎えられる、そして相手が栃木(SC)さんである、(栃木SCのJ3リーグ)優勝がかかっているといった部分、あとは我々の部分で言えば松田賢太選手、本当にグルージャ盛岡をこれまで支え引っ張ってきた「レジェンド」と言っても良い選手がこの試合をもって引退するといった今日はいろんなものが詰まった舞台でした。
ただそういったなかでも我々は10月16日の(J3リーグ第25節)SC相模原戦以降の6試合を6試合というひとまとめにするのではなくて、毎週毎週、一日一日トレーニングを積み重ねてきたことをその週末のゲームで思う存分発揮しようといったスタンスでここまで5試合を戦ってきました。そして今日のこの6試合目もそこの部分は変えずにやってきました。
結果はやはり(いわて)国体後は2勝3分1敗ですかね、大分(トリニータ)さんには苦杯を舐めましたが、そういったことを教訓にしながら何とか今日も失点はしてしまいましたけれども、ゲームを通じて自分たちの狙いとしているところを出せるように、出せる時間帯、局面が増えてきたのかなと、そういったなかで最後に追い付いて粘り強さも発揮することができたのかなと。そういった意味では今日の試合は積み重ねてきたもの、そしてまだまだ改善されないもの、そういったものが相変わらず同居したゲームではありましたけれども、本当に熱のこもった良いゲームになったのではないかなと今は感じています。
それも栃木(SC)さんのサポーターが大挙してこのスタジアムに駆けつけて下さったこと、そして岩手県民Dayということで多くの岩手県民の皆さま、盛岡サポーターが数多く詰め掛けてくださったことが我々の舞台を後押しをしてくれましたし、彩りを添えてくれましたし、松田選手からすると引退を飾るにふさわしいそういった舞台を整えてくれたんじゃないかなという風に考えています。なのでそういった皆さまに対してですね、心から感謝申し上げると共に、今年一年間本当に私はそういったサポーター、グルージャファミリー全ての方々に支えられた一年だったので、それを含めて感謝申し上げまして、本日の試合の総括とさせて頂きます。今年1年間ありがとうございました。
-試合前には「先制点がこの試合のポイント」と語っていて狙い通り先制点を取れた。それを含めて前半の出来は良かったと思うが要因は?
やはり(11月13日J3リーグ第29節)鹿児島(ユナイテッドFC)戦でも自陣低い位置で奪われて失点といったミスを犯していました。(11月5日第28節)福島(ユナイテッドFC)戦でもああいうミスを犯していました。そういったなかで栃木さんは当然前からボールを奪いに来るだろうと。山本(大稀)君を左に置いて廣瀬(浩二)君と大石(治寿)君を前ということは当然前から追いかけてきてパワー、献身性を求めた布陣だったと思うので、そういったところに引っかかってしまうと相手ペースになるなと。そういったなかで上手くGKの土井康平、センターバックの2人(久保海都、畑本時央)、サイドバック(鈴木達也、八角大智)がコントロールしながら、あまり低い位置で簡単にボールを失うこともなく上手く前にボールを運べた。シュートで終わることができた。そういったことが少しずつ相手のラインを下げる要因になったんじゃないかなと。それによって自分たちのスタイルを出しやすい環境を自ら作れたのかなと。それが前半の良かった点。あれが無得点で終わってしまうと、なかなか重苦しい雰囲気になってしまったと思うんですが、谷口(堅三)が今週もとても調子が良かったので「きっとやってくれるだろう」と思っていたところ見事に相手に当たってコースが変わった不運は(相手GKの)吉満(大介)君にはあったとは思いますけど、やはりシュートは打たなければ入らないというのを実践した素晴らしいゴールだったなと。その後2点目が取れそうな状況がありました。あの状況で追加点を取れないことがまだまだこのチームの力関係、栃木さんのそういったところ(追加点を与えず、逆転したこと)は強いのかなと。特に吉満君のファインセーブが2本ほどあったと思うんですけれども、垣根が打ったシュートがベンチの角度的に入ったと思ったんですけれども手が伸びてきて弾かれて、彼は素晴らしいGKだなと感じました。そういった部分が前半は悔しかったですし、それが結局後半の立ち上がり、鹿児島戦と全く同じ状況だったので前回の失敗を繰り返さず学習能力があることを証明したいといったことを彼らそれぞれが口々に言っていましたし、信じて試合に送り出したので、それがミスとなって失点してしまったのは大変残念としか言えないですけど、これはまた来季への課題として持ち越しかなと。ただその後逆転されましたけれども追い付いて何とかドローで終われた。しかも松田を出すタイミングを上手く計れたので、そういう意味では今日の試合を松田見たさに来たお客さんもいたと思うので、そういった方々にも満足して頂けた試合になったんじゃないかなと思います。
-リーグの終盤戦に入ってから同点に追いついたり、無失点で試合を終えたり粘り強さが出てきたように思うが?
私もそう感じています。コーナーキックを取るまでの時間帯は我々はかなり押し込めていたので、あの場面(2得点目)でのゴールは必然だと思っています。なのでそういったパワーの出し方、やはり1-2の状況で下を向くのではなく、あくまでも攻撃姿勢を強めて何度でも栃木ゴールに迫るという今日の試合のテーマを全員で実践してくれたことが追いついた要因になったのではないかなと思います。
–今シーズンの全日程を終えて求めているサッカー、スタイルへの手応えは?
国体後のメンバー構成を見て頂けるとわかると思いますが、ほとんど固定されていたと思うんですね。正直に申し上げましてこれが現状なのかなと。12番目、13番目、14番目、15番目、はたまた22番目、23番目といった選手が果たしてこのグルージャで同じレベルで維持できているのかというとそうではないのが現状です。もちろん今日スタンドで試合を見届けた選手たちは悔しい思いは当然していると思うんですけれど、彼らも毎日練習していて、私は毎日その姿を観察して彼らの行動の一挙手一投足見届けていますけれども、やはり今のグルージャ盛岡で今日のようなゲームのクオリティ、クオリティといってもまだまだですけど、でも栃木さん相手にあれだけボールを動かせるクオリティをじゃあ今日のベンチを温めた選手が入って同じレベルでできるかと言われたら正直今はそうじゃない。だから相模原戦以降、交代3枠使った試合はないかと思います。これは意図的に余らせているのではなくて、もうゲームの展開上出せないんですね。そこは今年チームを預かって一番不足していたのが「競争」なんです。それがこのクラブに一番必要だと思いますので、来季はそこをフォーカスしながら各ポジションで常に競争が行われている状況をやはり作らなければならない。土井康平は全試合フルタイム出場してキャプテンとして素晴らしい重責を果たしてくれた。その素晴らしいという点は認めた上であえて苦言を呈せば彼のミスで失点した事実もある。では福島戦の次の試合で別のGKが同じレベルでいたらもしかするとその選手が(試合に)出ていたかもしれない。そういったことを考えても各ポジションで高いレベルで競争が行われていない事実がありますので、そういったところが今シーズン見ていて他のスタッフも一生懸命やってくれたんですけれども、なかなかチーム力として向上しなかった。私にも責任の一端はあります。そういった部分はチームを強化していかなければいけないなと感じています。
-10年にわたってクラブに貢献した松田選手に対して
正直私が何か松田選手に対して語ることはあまりふさわしくないと思っています。なぜなら私は彼との付き合いの年月があまりにも短い。私が彼に対して万感の思いを込めてとなるとちょっと作っているという風に僕自身が感じてしまいますので、そうではなく一人の監督として、そして今年一年間我々を支えてくれた一人の選手としてということであれば彼は本当に苦しみを数ヶ月味わった、大好きなサッカーをできない苦しみ、悲しみ、辛さ、それは想像するに余りあるというか、そういう意味でよく秋口に戻ってきてくれたなと。そして僕はもう2週間前に彼の起用は本人に伝えていました。最後何分になるかわからないけれども必ずピッチに立たせると。だから2週間それ相応の準備をして下さいと。それしか彼には言ってません。今日どこのポジションで使うか試合前に始めて彼に伝えました。今週の練習の中で彼をそのポジションで使って充分やれるという発想の中でああいったポジション(右MF)になりました。本当に10年間、僕は一つのクラブで10年間やり続けるというのは想像を絶するくらいのことだと思っていますので、こういうことを成し遂げた松田選手には最大のリスペクトを込めて今日ベンチに入れましたし、出て頂いたので、それが私から彼に対するメッセージと受け取って頂ければいいかなと思います。彼自身にかけたい言葉は「本当にお疲れ様でした」「ありがとう」そして「次なるステージでの活躍をお祈り申し上げます。」ということですね。